背戸振動制御研究所
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私の研究 「振動を制する」
 私の研究は振動を制御することです。マッサージ器とか電気剃刀のように振動を有効利用している場合もありますが,多くの場合,振動は嫌われ者です。その振動を制する課題に取り組んだのは私の博士課程の学生時代ですから,約35年以前に遡ります。当時,ビビリ振動と呼ばれる振動が工作機械で発生しており,それを抑えることが大きな課題でした。私は動吸振器と呼ばれる制振器を工作機械に組み込んで,そのビビリ振動をぴたりと止める体験を致しまして,それ以来振動を制することの魅力に取り付かれてきました。そこで,今でも鮮明に記憶に残る振動を制する私の研究を紹介させていただきます。
 大学を出て,防衛大学校に奉職して最初に手がけたのが磁石を使った振動を制する研究です。学生時代に動吸振器の素晴らしさを体験したのですが,振動のエネルギーの吸収にオイルの粘性を利用したものですから,振動を制する能力が温度によって大きく影響されました。そこで,オイルの粘性に変えて永久磁石の磁場内を導体が運動するとき起こる磁気減衰を利用することを考えました。しかし,35年前の永久磁石は今から見て非常に弱いものでしたから,大きな減衰は得られません。そこで,磁気減衰を効率的に活用する設計式を導いて,磁気ダンパと名付けました。これを動吸振器に組み込んで世界で初めて磁気ダンパによって振動を制することが出来ることを実証し,特許も取得しました。今では鉄・ネオジウム磁石と呼ばれる強力な磁石が安価に入手できるようになり,磁気ダンパは一般的に使われるようになりました。
 ご承知のようにブレーカーとかチェインソーのような手持ち振動工具を長時間使用すると,手に白蝋病と呼ばれる振動障害を起こします。それを防ぐために振動の節を活用した振動絶縁法の理論を構築し,それを用いた防振ハンドルを開発しました。これは工具に取り付けるハンドル上に,振動の節と呼ばれる無振動部を作ることによって,手に振動が伝わらない構造を作り出すものです。この理論で日本機械学会論文賞をいただきました。この防振ハンドルは軽量・小型で操作性が良いことから,現在産業界で活用されております。
 我が国は島国ですから吊り橋が沢山掛かっております。その最後のプロジェクトとして来島海峡を跨る来島大橋が1998年に竣工しましたが,その建設にも参加させていただきました。吊り橋の建設には,まず主塔と呼ばれる巨大な支柱を建設するのですが,これの建設中に強風が襲うと渦励振と呼ばれる主塔の振動が発生いたします。これは危険ですし,条件によっては倒壊の危険性もあります。私の研究の得意分野は,そのような巨大で柔軟な構造物の振動制御ですから,研究の依頼を受けてそのプロジェクトに参加し,制御技術を駆使して無事竣工までのお手伝いをすることができました。
 最後に,私が考案した連結制御法と呼んでいる振動を制御する方法を紹介いたします。2棟の超高層ビルを上部でブリッジを架けて危機時の通路として利用するものは見受けられますが,私の考案はこのブリッジを制御によって伸縮させることにより,超高層ビルの強風や地震による揺れを制御しようと言うものです。これをアクティブ制御ブリッジと呼んでおります。2棟に限らず,3棟,4棟の超高層ビルをこのブリッジで繋ぐことによって,安全性,居住性,便利性が提供できます。この方法を利用した先駆けとなる3棟の超高層ビルが晴海再開発地区に2001年に竣工しました。トリトンタワーです。研究成果が実現されるのは研究者冥利に尽きる思いです。これらの研究成果を会社設立によって実社会に役立てたいと思っております。
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